ペーパーバックの歩き方 その2
“英語主義“ブログを訪問してくださってありがとうございます。“母”が書きます。
John Grisham “CAMINO ISLAND”
John Grishamは昔トムクルーズが主演した “THE FIRM(法律事務所)“等を書いた多作な作家ですが、私はこの本以前には1冊も読んだことはありませんでした。
この本を読んだきっかけは、何か(エッセイ?)で村上春樹が「とてもいい小説」と紹介していたのを覚えていたからです。読後はその読みやすさにも惹かれて、すっかりファンになりました。
以下少しだけネタバレです。
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主人公のBruce CableはフロリダのCamino Island にある書店の経営しています。本をこよなく愛し、日々読書に明け暮れながらも、書店にある本を返品することなく売ろうと奔走しています。しかし、一方で実は彼は貴重な初版本や原稿のコレクターでもあり、プリンストン大学で発生した”F. Scott Fitzgeraldの大変に貴重な(pricelessな)5冊の本の原稿が盗まれた“という事件に関わっていて…。
この主人公Bruce Cableは小説の中で(真っ当ではないけれども)非常に魅力的に描かれていて、食事はいつもワインとともに、服装にもこだわりがあり、電子本ではなく紙の本を好みます。
Mercerというスランプ気味の女性作家とのシーンです。
“Maybe. I’ve read two books about the Fitzgeralds and the Hemingways in Paris and I’ve ordered several more.”
“Ordered?”
“Yes, from Amazon. Sorry. They’re far cheaper, you know?”
“So I hear. Order from me and I’ll knock off 30 percent.”
“But I like to read e-books too.”
“The younger generation.” He smiled, took a sip of wine, …
作家であるJohn Grisham自身の憂いが多分に投影されているように思えます。
また同じくこの作家のF. Scott Fitzgerald への愛が色濃く感じられる場面も多くあります。
クライマックスのシーンで、盗難されたFitzgerald の5つの原稿が一つ一つ返却されて行くのですが、書かれた年代順で返されていたはずの原稿の順番が最後の1つだけBruceによって変更されます。この作品への別格のリスペクトが感じられるように思います。
Bruceから伝わってくる本への愛情に、軽いタッチで楽しめるエンターテインメントながらも爽やかな感動を覚える1冊、ぜひお試しください。
読んでくださった方のご参考になりますように。
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